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  • 2012.05.04 Friday
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四コマ文学「蔵屋物語」第一話

 第一話 「シャレた瓶こ」 栗山匙太郎作







 栗山匙太郎はさきほどから窓外の小道をおもむろに眺めていた。
秋は深まり、枯れた葉が時おり風に吹かれ、また虚しく道の上に舞
い落ちた。







 軒下にはいつもの黒猫が、秋の斜光を受けながらうずくまっている。
彼はその猫に蔵之介と名付けていたが、呼んでもまだ一度も振り向く
ことはなかった。
 愛用の籐椅子に凭れ、この猫が主の古道具屋の話を思い浮かべな
がら、退屈な午後を凌いだ。







「寒なはん」
 蔵屋の重い硝子戸をぎこちなく開けて入ってきたのは、町の外れで
食堂を営む六兵衛だった。夏でも毛糸の帽子を被っている。
「おもせの、あるが」
「シャレた瓶こ、へった」
 蔵之介は文机に頬杖を付いたまま、愛想なく応じた。







「はぁ、ただのコーラの瓶こでねが」
「んでね。この瓶こ、ウエストサイドで飲んでた奴だ」
「嘘こけ。おらほの小屋さもいっぺあるじゃ」
 蔵之介は思わず目を伏せた。あれは、六兵衛の小屋だったのか・・・・・・
まだほの暗い小屋の奥には、煤けた福助が欠けた丼の中に横たわっている。
 しかし彼はそれを断念した。硝子戸の外を凩がしきりに吹き過ぎていた。



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